古河中等教育学校多目的教室棟

分類 教育施設
建設地 茨城県
古河市
構造 RC造二階建て
延床面積 902.34㎡
竣工 2016年7月
業務内容

新築設計監理

設計担当 池田洋

平成25年に開校した中高一貫の「古河中等教育学校」に、新たに増設された「多目的教室棟」です。
240人が利用できる多目的教室が2階に設けられているほか、1階には120人が利用できる図書閲覧室と45,000冊を収納できる書架スペースが設置されています。
古河中等教育学校は開校して4年目を迎えましたが、校舎はこれまですべて、前身となる「総和高校」(平成27年に廃校)のものを使用していました。
ですから、今回の多目的教室棟は、古河中等教育学校となってつくられる「初めての校舎」ということになります。


●敷地のどこに建てるのがふさわしいか

エイプラス・デザインとしての最初の課題は、その新しい多目的教室棟を敷地のどこに建設するかを決定することでした。
当初、学校側の要望は、既存校舎と校庭の間にある敷地に建設したいというものでした。
たしかに、その場所はスペース的には余裕がありましたが、しかし、そこに建てた場合、既存校舎からの動線として渡り廊下を敷設する必要があり、また、工事を行う際にも工事車両用の通路を新たに確保する必要もあって、費用がかなりかさむことが予想されました。
さらに、新たなシンボルとなる新校舎を建設する場として、ふさわしい位置なのか?という思いもありました。
そこで、代替案として、正門と昇降口の間にある広々としたロータリーのスペースを使用する提案をしました。
現在はほとんどの生徒がスクールバスを使用しているとのことで、総和高校時代に敷設された広い自転車置き場を、半分以上敷地として取り入れることができ、広さは十分に確保することが可能です。


●「隠す」のではなく、「いざなう」「つなぐ」へ

ただ、この案にはひとつ大きな懸念点がありました。
正門の真正面に構える大きな昇降口が、新しい校舎によってほとんど隠れてしまうことになるという点です。
生徒がこれまで慣れ親しみ、学校の象徴的な存在であった昇降口を、新しい校舎が「隠してしまう」というネガティブな印象は、なんとしても避ける必要があります。
思案の末、次のような解決策を思いつきました。
それは、2階建て建物の1階部分を少しだけ左にずらすというアイデア。
1階部分を左にずらすことで、1階の右端部分に空きスペースができます。
その空きスペースを半屋外のトンネル状にして、バスを降りてから昇降口まで、生徒の皆さんをいざなうアプローチにしようと考えたのです。
いざなう機能を持たせることで、「隠す」というネガティブな印象を、「つなぐ」というポジティブなニュアンスに変換することができます。


●新しさの象徴となる、表情豊かで軽やかな外観

一方、建物1階の左側にできた、2階より飛び出したスペースは、高い吹き抜け天井を持つ空間となり、図書閲覧室にうってつけです。
この図書閲覧室は、放課後の自習スペースや学年の集会にも使用することが求められたため、通常の学校の図書室とは異なり、書架と閲覧室を完全に分離した配置となっています。
書架は、本を守るために陽光があまり差し込まないよう建物の中ほどに配置し、反対に閲覧室のほうは、全面に大きな開口を設け、とても明るく開放的な空間としました。
放課後などに管理者(司書)がこの場を離れるときは、司書室と書架を閉じ、閲覧室のみを自習スペースとして生徒に開放することができます。
窓のある壁面は、敷地の形状によって、正面に向かって垂直ではなく斜めに角度がついているため、生徒の皆さんは自習をしながら、この部屋のどこにいても、スクールバスが正門から入って来るのを見ることができます。

建物の外観の意匠としては、屋根には先に述べたような空間構成を生かして、アール形状のものを採用し、一方壁面には、屋根とは対照的に、列柱を思わせるような連続した垂直のラインを全体に取り入れました。
四角い校舎が並ぶ敷地の中で、新しい多目的教室棟の曲線と直線のコントラストがひときわ軽やかな印象を醸します。
新たな学校のシンボルとなるにふさわしい表情豊かな建物が、開校4年目にして完成しました。

分類 教育施設
建設地 茨城県
古河市
構造 RC造二階建て
延床面積 902.34㎡
竣工 2016年7月
業務内容

新築設計監理

設計担当 池田洋