中村会計事務所
分類 | 事務所 |
---|---|
建設地 | 茨城県日立市 |
構造 | 木造 地上2階 |
敷地面積 | 257.57㎡ |
延床面積 | 248.18㎡ |
竣工 | 2011年3月 |
業務内容 | 新築設計監理 |
設計担当 | 佐藤昌樹 |
伊井和久 | |
鈴木雪乃 |
日立市にある事務所です。
もともとこの場所で税理士のお父様が事務所をされていたのですが、息子さんが公認会計士の資格を取得して地元に戻ってこられ、お父様にこう伝えられました。
「昔からお父さんが働いている姿を見てきて、いつかぼくもいっしょに働きたいと思っていた」と。
素敵な話ですよね。
こうして、スポンサーはお父様、デザインなどに関するご要望は息子さんから、というスタイルで建物に関する話し合いが始まりました。
一度は現在と全く異なる案で決定
当初、息子さんのご要望はある意味明快で、外観については「安藤忠雄さんみたいなイメージで」とのことでした。
さっそく矩形で屋根も水平な、コンクリート打ち放しの、いわゆる”安藤さん的な”模型を作ってご提案したところ、すぐに気に入っていただき、「これで進めましょう」ということになりました。
ただ、これはほかのお客様とお話ししていてもあることですが、ご自分の本当の好みや希望にご自身が気づかれていないということが結構あるんですね。
この建物は、交通量のかなり多い通りに面しています。しかも、道路から1メートルくらい高い土地に建っている。
ですので、遠くから見たときに、もう少し目立つというか、印象に残る外観のほうがよいのではないか、という思いがずっとありました。
それで、再度提案をしてみたところ、息子さんも「そうかもしれない」ということになり、その後話し合いを重ねて、最終的には当初の案とはまったく違う、アール(曲線)の屋根が印象的な現在の外観になったというわけです。
「仕掛け」のある内部空間
内部の執務スペースには、手前に職員の執務室があり、その奥には、息子さんたってのご希望で、全面ガラス張りのボス(お父様+息子さん)の執務室を配しています。
そうです、海外ドラマによく登場する雰囲気の”ボスの部屋”です。
また、海の見える位置に職員休憩室をつくりました。
日立の海が見渡せるこの部屋は、ひょっとするとこの建物のなかでいちばんの特等席かもしれません。
打ち合わせ用のスペースの奥に応接室があり、そこには螺旋階段を設けました。
この部屋でお客様が待っていると、ボス(お父様+息子さん)がこの螺旋階段を颯爽と下りてくる、そんなちょっと恰好のいい演出を考えました。
とくに会計事務所ということもあって、ストイックな印象の空間が続くため、この螺旋階段は建物のいちばんの「仕掛け」として、建築家としてもこだわりました。
できる限り細めのフレームでスマートなフォルムに作り上げ、色も特徴あるワインレッドを選んでいます。
当初、お客様はもう少し落ち着いた色を考えていたようですが、設計する立場としては、来客者へのインパクトも考え、ちょっと派手目の色でいきたいという思いがありました。
結果、双方が納得したこのワインレッドになりました。
じつは、建物が完成するまでの間、われわれの窓口は、仕事で忙しいお父様、息子さんに代わり、つねにお母様が務めてくださいました。
お母様が私たちの話を聞き、その内容をお父様と息子さんの3人で話し合い、その結果をまたお母様が私たちにフィードバックしてくれるというかたちでした。
建物が完成したとき、そのお母様が、本当にすごく喜んでくださって。
それが何よりもうれしく、今でも強く印象に残っています。
分類 | 事務所 |
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建設地 | 茨城県日立市 |
構造 | 木造 地上2階 |
敷地面積 | 257.57㎡ |
延床面積 | 248.18㎡ |
竣工 | 2011年3月 |
業務内容 | 新築設計監理 |
設計担当 | 佐藤昌樹 |
伊井和久 | |
鈴木雪乃 |