小規模多機能クリクリ

分類 社会福祉施設
構造 木造 平屋建
延床面積 698.59㎡
竣工 2014年3月
業務内容 新築設計監理
設計担当 佐藤昌樹 亀田駿介

那珂市にある栗田病院が経営する小規模多機能型居宅介護支援事業所です。
小規模多機能型居宅介護支援事業所とは、「デイサービス=通い」を中心として「グループホーム」にも対応する施設のことで、「クリクリ」では「通い」を利用される方は最大25名まで、「宿泊」を利用される方は最大9名まで受け入れることができます。

利用される皆さんに、少し大きめの「家」としてとらえてもらえるような、くつろぎの空間を目指してデザインを進めました。

外観のピンク色は、隣接する栗田病院のカラーでもあります。病院と一体であることを示し、かつ安らぎを想起させるやさしいピンク色を選びました。

屋根にはドーマー窓切妻屋根や寄棟屋根を採用し、小さな「かたまり=家」がたくさん集まっているような形状としました。ひとつひとつは栗田病院のモチーフである「栗」を表現しています。大きな「栗」と小さな「栗」が集まってこの「クリクリ」が成り立っているというイメージです。

外観には、少し濃いめのピンク色に塗られた柱・梁型が付いていて、外観のポイントを形成しています。じつはこの部分、デザイン面だけでなくて実用面でも機能しており、各室の換気扇やエアコンに付随する配管類を納めるスペースになっています。このスペースを設けたことで、外観をかなりすっきりと見せることに成功しています。

建物の内部は、木を多用し、居室はほとんどは南向きにしています。

この施設は、認知症や精神疾患を患う方が多く利用されるので、そういった方々に安全に利用していただくための細かな面にも十分に気を配っています。

たとえば、フロアの素材。この施設では、フロアは基本的に同一の素材を使用しており、すべて仕切りなく続いています。扉も「吊り戸」を採用しているため、ドアレールの区切りさえありません。なぜそこまで徹底したかというと、認知症の方はフロアの素材や色が変わるとそこで止まって動けなくなってしまうことがあるためです。引き戸用のレールがあるだけで、自分の部屋に入れず止まってしまうことがあると知り、完全に“地続き”の環境をつくりあげました。

また、万が一の話ですが、精神疾患の方が発作的に紐で首をくくったりすることのないよう、扉に取っ手はつけず彫り込みの引き手にするなど、精神科の病院が講じているのと同レベルの危険防止対策を慎重に施しました。

全体にウッディで落ち着く内装でまとめていますが、キッチンの面材とロールスクリーンに鮮やかなオレンジ色を採用しました。明るい気分で、楽しく食事をしていただける空間に仕上がったと思います。

また、施設のユニット同士をつなぐ中庭のような形で、広々としたウッドデッキを設置しました。お天気のときはとても気持ちのいい陽だまりとなり、ベンチも置かれているので、のんびり快適な時間を過ごしていただけると思います。

オープンから1年が過ぎました。先日おじゃましてきましたが、施設のいろいろな場所でリラックスした表情で過ごされている利用者の方々の姿を目にし、とても安堵し、うれしい気持ちになりました。

分類 社会福祉施設
構造 木造 平屋建
延床面積 698.59㎡
竣工 2014年3月
業務内容 新築設計監理
設計担当 佐藤昌樹 亀田駿介